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津波からの避難訓練―「釜石の奇跡」に学ぶ

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 今日の清浜は、久々の良い天気に恵まれました。
 青空が広がり、風もやわらかく、ようやく春の陽気です。
 勿論、桜はまだですし、風もぬるくはなく、緑もまだ濃くありません。それでも、気持ちが明るくなります。
 運動会の練習は、今日は安心してグランドで行っています。
 元気な声が響いています。

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 さて、13日に「津波からの避難訓練」を行いました。東日本大津波を教訓に、海抜3.6mの宗谷中でも毎年この時期に訓練を行っています。
 「津波警報」が発令されたら、直ちに校内放送で生徒に知らせ、「てんでんこ」に裏山にかけ上るという避難方法です。校舎横に、ちょうど裏山にある小さな神社に繋がる道と石段があり、そこを上って広場に避難します。冬は雪で道が埋もれ、避難場所は校舎内の展望台しかないのが、少々心配ですが…。

 生徒達は訓練の意味をきちんとおさえていますから、皆、まじめに取り組んでくれました。結構急な坂道を登り、校内放送から4分もかからないうちに、全員が避難することができました。

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 避難訓練の後、校舎に戻り、消防署の方から取り組みの評価と講話をいただき、その後に、DVDで『釜石の奇跡』-大津波で直撃されたにも関わらず、約3千人の小中学生ほぼ全員が津波から逃れることができたわけを学びました。
 DVDに登場したのは、釜石の小中学生に長年にわたり津波からの避難の方法を教えてきた、片田敏孝群馬大学教授です。『釜石の奇跡』は、片田教授の教えが血となり肉となっていて、あの場面に応じた適切な行動を子ども達がとったために生まれたものでした。
 あの日を再現すると、こうだったそうです。
 地震の直後、サッカー部の中学生がいち早く「てんでんこ」に、高台に向かって走り出し、それを見た他の中学生が走り出した。小学生は自分の学校がそれなりの高台にあるので、大丈夫ではないかと思っていたけれど、中学生が小学校の横を通りさらに高台に向かって走っているのを見て、学校を飛び出し中学生の後を追った。それらを見た町の人たちも幼稚園の子ども達も高台をめざして動き出した。
 一旦高台の施設に避難したが、「津波がくるぞ」という声に、みんながさらに高台に向かって走り、危うく難を逃れた。その施設を離れて、わずかな時間で、そこまで津波が押し寄せた…。

 片田教授が教えたことは、次の3つだったということです。
 ①「想定」を信じるな。
 ②その状況下で、最善を尽くせ。
 ③「率先避難者」たれ。

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①「想定」を信じるな
 津波は自然災害。相手は自然です。人間の「想定」が当たるとは限らない。東日本大津波は、まさしく想定を大きく上回るものでした。
②その状況下で、最善を尽くせ
 その時に、やろうと思うことを行動に移すこと。できる限りのことをやり尽くすこと。
③「率先避難者」たれ
 いち早く逃げるには、自分だけ助かろうとするせこい根性ではないかと思ってしまうが、違う。誰かが行動すれば、周りもそれにつられて行動に移す。自分が率先して避難することで、周囲にも影響を与え、結果的に多くの命を救うことにつながるのだ。

 片田教授が“防災教育”で一番重要視していることは、自らの命を主体的に守る”姿勢”を身につけさせることでした。その教えを受けて、釜石の小中学生は、自らの「想像力」と「判断力」を駆使し、誰かの指示を待つことなく自分でよかれと思ったことを即行動に移し、自分の命と周囲の命を守ったのです。
 そうだったのかと、感動するとともに、深く学ばされました。
 これこそ、本物の「学力」であり、「生きる力」であると思わされました。

 上からの教え込み、強制ではこうした判断力や主体性は育たない。
 子どもを尊重し、自ら価値を見出して、自ら学ぶことを見守り後押しする教育こそが、自ら判断しようとする責任感や判断力、主体的に物事に取り組む力を育みます。
 それは、宗谷中がめざす教育や授業づくりともつながっています。
 子どもの学ぶ力を信じ、子どもを見守り励ますこと。自他を尊重する精神を豊かにさせ、子どもら同士を支え合い学び合う関係に高めること。
 家庭や地域と共に、そんな宗谷中の教育づくりを進めていきたい。

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『日刊そうや』(宗谷新聞社発行)提供