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『暴力行為根絶宣言』を受け取って

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 運動部活動に取り組む生徒宛に、日本体育協会・日本中体連などスポーツ5団体連名の『宣言文』が届き、宗谷中生には全員に配付しました。
 宣言文のタイトルは、『スポーツ界における暴力行為根絶宣言です。

 『宣言』には、まず、指導者としての宣言が4つ記されています。
〇指導者は、スポーツが人間にとって貴重な文化であることを認識するとともに、
 暴力行為がスポーツの価値と相反し、人権の侵害であり、
 全ての人々の基本的権利であるスポーツを行う機会自体を奪うことを自覚する。
〇指導者は、暴力行為による強制と服従では、
 優れた競技者や強いチームの育成が図れないことを認識し、
 暴力行為が指導における必要悪という誤った考えを捨て去る。
〇指導者は、スポーツを行う者のニーズや資質を考慮し、
 スポーツを行う者自らが考え、判断することのできる能力の育成に努力し、
 信頼関係の下、常にスポーツを行う者とのコミュニケーションを図ることに努める。
〇指導者は、スポーツを行う者の競技力向上のみならず、
 全人的な発育・発達を支え、21世紀におけるスポーツの使命を担う、
 フェアプレーの精神を備えたスポーツパーソンの育成に努める。

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 この『宣言』が作成された背景は、大阪桜宮高校バスケ部顧問教師による体罰が原因となってキャプテンを務めていた生徒を自殺に追い込んでしまったこと、女子柔道界におけるオリンピック代表監督による暴力行為の内部告発とその事実があったことの認定です。

 そうした中、今回、この『宣言』を全ての運動部活動指導者まで届けるだけではなく子ども達に対して配付したことには意義があるなと感じています。
 それは、子ども達がこの『宣言』を読むことで、指導者の本来的な当たり前の姿勢と子ども達自身が「スポーツをする権利」の権利主体者であることがわかるからです。
 スポーツの指導者とスポーツに取り組む者との関係は決して「上下関係」ではない。この当たり前のことを、広く子ども達に伝える意義のある『宣言』だと感じました。

 現在もこれまでも、宗谷中に部活指導における暴力行為や体罰はありません。
 けれども、『宣言』文がだされた意味をわれわれ教師と学校はしっかりとらえ、指導の原点を確かめ、子ども達にとってよりいっそう充実した部活動になる契機にしたいと思います。

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 部活動は教育の一貫です。教育にも、指導と被指導の関係は当然あります。
 しかし、教師と生徒は、人間的には全く対等平等です。
 部活動を通じて、教師が指導者として子ども達から心から信頼され尊敬されることは、「上下関係」を悪用した押しつけや管理、「暴力」という恐怖・痛みを通じてでは決して実現できません。
 練習内容の理由づけの説得力・科学性、アドバイスの的確性、意欲を引き出す激励の言葉の豊富さ、子ども同士の絆を意図的に強めて前進的なトーンを醸し出す部活運営など、子どもの「なるほど」「できた」「嬉しかった」「楽しかった」という体験が指導を受け入れ、ひいては信頼感や尊敬の念となっているのだと思います。

 また、部活動が教育である以上、そこには「子どもの人間としての成長を図る」という教育的な目的の達成をめざした活動が、計画され指導が展開されなければなりません。
 本校では、子ども達を「かしこく、やさしく、たくましい生徒」に育てたいという目標をもっています。こうした子どもに育てるためには、部活動における暴力行為や体罰は役に立ちません。暴力や体罰では育てられないのが、本校がめざす子ども像です。
 自分の力で判断してプレイすること・プレイを振り返って考えること、仲間との相互の勇気づけで前向きにプレイできた喜びを体感すること、自分とチームの目標を設定し、その実現のために努力しようと決めたことを自分を律しながら最大限行い続けること・・・。
 このような、「かしこく、やさしく、たくましく」プレイできる生徒に育つためには、そうした力を意図的に育てる指導が必要です。
 宗谷中の先生方は、そうした指導に腐心してくれています。
 でも、その指導はまだ道半ばです。
 子ども達が「かしこく、やさしく、たくましく」プレイできる生徒に育ち、チーム一丸となった時、きっと勝利の女神はほほ笑むことでしょう。

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 『宣言』は、「スポーツを行う者」に対しても、2つの呼びかけをしています。
〇スポーツを行う者、とりわけアスリートは、スポーツの価値を自覚し、
 それを尊重し、表現することによって、人々に喜びや夢、感動を届ける
 自立的な存在であり、自らがスポーツという世界共通の人類の文化を
 体現する者であることを自覚する。
〇スポーツを行う者は、いかなる暴力行為も行わず、また黙認せず、
 自己の尊厳を 相手の尊重に委ねるフェアプレーの精神で
 スポーツ活動の場から暴力行為の根絶に努める。

 宗谷の気候もようやく「春らしく」なり、日によっては「初夏」を思わせる陽気です。
 中体連大会も迫り、子ども達はますます部活に燃えています。
 宗谷中生が、部活動を通じて、いっそう「フェアプレイの精神」の持ち主になり、「勝利の女神」を手繰りよせる力が育つよう、指導と激励を重ねていきたいと考えています。

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