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沿岸子育て教育講演会―神田山陽氏をお招きして

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 はっとさせられました。
 人間としての生き方を問われたように感じました。
 神田山陽さんに、です。
 28日夜、『宗谷沿岸子育て教育講演会』を行いました。その講師が、北海道出身の講談師、神田山陽さんでした。会場の宗谷中体育館には、たくさんの保護者・地域の皆さん、そして先生方が足を運んでくださいました。

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 神田さんは、ご自身の人生をなぞりながら、その時の自分が何を考え、そのような行動をとったのかを語ってくれました。

 神田さんの人生は、聴いていてまったく破天荒です。
 その人生は、私にはとってもできない行動であったり、挑み方でした。いやたぶん、私だけでなく、会場にいた誰もが考えもしないこと、たとえ考えても決して行動には移さないだろうなと思うことに神田さんは挑んできました。

 教師だった親に反発し、幼少の頃からプチ家出を繰り返したり。
 高校時代は、授業をさぼって本を読みあさり、恋をしてはアタックし、告白し、振られ続けもしたこと。何もない自分の中に、何か1つでも誇りを持てるものをもちたいと、辛くて大盛りの「チャレンジカレー」早食いに挑み、チャンピオンになったこと。
 西表島に住むというカメラマンに会うために、わずかな所持金だけで東京からヒッチハイクで向かった青年神田山陽さん。西表島にたどり着いて「きっと森の中に住んでいるのだろう」と思い込み、川の中を歩いて渡って森に入り、3晩も飲まず食わず森の中をそのカメラマンを捜し回ったり。
 川口松太郎著の『人情馬鹿物語』を読んで、その中に出てくる講談師に興味をもち、2代目神田山陽に弟子入りし、実際に講談師になったり。
 講談師になった後からも、自分を見つめ直そうという心意気をもち、本物の(?)講談師のいるイタリアに行こうと決意し、実際に文化交流使となってイタリアに渡り彼らと交流し、イタリア人相手にイタリア語で講談をしてきたり。
 故郷を大事にすることを気づき、故郷にある小学校に「入学」し「卒業」したり・・・。

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 親に反抗したのは、「教師になれ」という親がいやだったから。「ああせい、こうせい」と指図されることがいや。人から示された道をなぞるのがいやだったから。
 最初のプチ家出は、3歳の時。「弟ができたから、今日から一人で寝なさい」という指示に反発して。
「不安から反発し、家出したのに帰り道の方が暗くてもっと怖かった」
 学校の授業をサボって本を読みあさったのは、実は小説家になりたかったため。
「弱虫だった自分が書いた小説で、世の中の一人でも救えたら」と小説家という夢をもったとか。
 振られても振られても、恋に挑み続けるタフネスさには感服しました。
 西表島に向かったのは、「西表ヤマネコ」しか撮らないという写真家に会ってみたいという強烈な思いにかられ、いてもたってもいられなかったから。その思いの背景にあった考え方は、
「男子一生の仕事は、金にはならないものだ。」
 いかに世の中に意味のある活動をする人生を送るかというポリシーが、20歳そこそこの神田青年の心にすでに宿っていたということです。

 そのポリシーは、講談師になり成功を収めてもブレずに神田さんは持ち続けます。
 あるパチスロのCMに出演したら、出演料が何と160万円!
「こんな世の中おかしい!」
 運賃のことを気にせずにタクシーに乗り、何千円も払うようになった自分にも愕然として、こんなんじゃだめだと思った神田さん。
 そんな思いがイタリア行きに目覚めさせ、イタリアで講談師の本来的なあり方を振り返ることになり、今なお「問い続ける」人生を送っている。
「正しいことを正しいと言える世の中に、今の日本はなっているでしょうか?!」
 講演の最後は、まさに世を問う、講談師の姿でした。

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 講談師神田山陽の講演ですから、面白おかしくお話をするものだと思い込んでいました。しかし、笑いを誘いながらも、一貫として熱く、硬派な内容でした。
「私も2児の父ですが、子育てには全く自信がなく、息子は自称ミュージシャンです。・・・」
 講演の中ではそんなお話もされていましたが、ご自身の生き様自体がわが子にきっと様々なプラスの影響を与えているのだろうなと感じました。
 また、神田さんが何を考え行動をしてきたのか、反抗的であった行動の裏にどんな感情があったのかなど、私たちが日々の子ども達と向き合う時のヒントも散りばめられていました。

 本校のある先生は、こんなことをつぶやいていました。
「神田山陽さんのお話を聞いて、
 人生って何だろうと考えさせられている自分がいます・・・。
 う~ん。何か新しいことにチャレンジする勇気はない。
 自分が他人に誇れる何かも持ち合わせていない・・・。」

 なかなか同感です。
 でも、本当に小さな挑戦かもしれないけれども、子ども達のために自分の仕事ぶりを振り返り、今日より明日、自分で自分を誇れる実践に向かっていこうと思える自分であれば、教師としての何かしら「世の中に意味のある活動」となっているのではないのかな?

 会場で一緒に聴いていた保護者の皆さん、地域の皆さん、沿岸子育て連協に関わる皆さんは、いったいどんな感想を持たれたことでしょう?
 今回の講演会で考えさせられたことは、きっとこれからの沿岸子育て・教育にとって「肥やし」になったものと思っています。
 たくさんの皆さん、ご来場、ありがとうございました。
 そして、神田山陽さん、最北端までありがとうございました。

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