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「自己肯定感」の話―高垣忠一郎氏に学ぶ

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 先週は会議続きで、『校長日誌』の筆が止まってしまっていました。
 そうしているうちに、11月8日、平年より17日、記録的に2番目に遅い初雪が稚内に降りました。

 今日の日誌は、それよりもさらに以前、11月2日に学んだことです。
 「『不登校』・『ひきこもり』と自立の出会い」をテーマにした、稚内市教育委員会・稚内市生活福祉部が主催する講演会で聴くことができた、高垣忠一郎さんのお話についてです。
 高垣忠一郎さんは、立命館大学大学院教授で、臨床心理学を専門にし、精神科でカウンセラーも務めている先生です。カウンセラーとして、思春期・青年期の問題に取り組み、不登校問題にはすでに30年以上も携わっている方です。
 学んだ内容は、不登校や引きこもりとなった子ども達・青年とのカウンセリングでの対話をもとにした子どもの状態や心理分析、子どもを「呪縛」から解き放つために必要だと考える「自己肯定感」の形成に関わることです。

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1.カウンセリングを通じて見える、子ども達の状態。
・子どもの頭の中は、「高速道路」のようになっている。
 自分のリズムではなく、速い流れに乗って走らねばならないような状態。
・不登校の子は「高速道路」の流れに乗っていけない。そこで、パーキングエリアで
 休んでいる状態。いわば、「自分を取り戻す」時を過ごしている。
・学校に戻るとき(登校を再開するとき)の状態は、
 パーキングから高速道路に戻るイメージ。
 周囲との間合いを測って速い流れに乗ろうとしている状態。とても緊張感がある。
・不登校の子やひきこもりの青年がさぼっている、甘えているという見方は違う。
・いじめられが原因で不登校になった子は、自分自身を責めている。
 「自分が嫌いです」
 「みんな学校生活を楽しんでいる。楽しめない自分が嫌いです。」
 「いじめられたのは自分が悪いから。」
 「僕には得意なものが何もない。だから、いじめられるんや。」と。

2.子どもの本質からくる、現在の子どもの姿
・親思いで、親の期待に応えて喜ばせてあげたいという心情をもっている。
・だから、いじめられたことを親に言えない。
 それは、親の期待を裏切ることになるから。
・自分の心よりも親の心が傷つくことに気配りしている。
・不登校になっても癒やされない。
 親の期待を裏切ってしまった。そんな自分を許せない。

3.では、そんな子どもが力強く生きていく力をつけるためのヒント。
・子どもは受け身な存在ではない。自分自身の力で治していく。
・周囲は、自分の力で治していく子どもを助けることしかできない。
・しかし、子どもの自己回復力を奪うものがある。それは、自己否定にとらわれた心。
・自己否定にとらわれた心を解き放つことが、自己回復力を育む。
・自己否定にとらわれた解き放つものは、自己肯定感。

4.そこで、高垣氏の考える『自己肯定感』とは?!
・『自己肯定感』とは、自分は自分であって大丈夫という心情。
・「自分は自分であって大丈夫」
 「生きているだけで価値がある」と子どもが感じられること。
・『自己肯定感』を高めるために、「よいところをほめて高めよう」という考えがある。
 しかし、自分を丸ごと否定している子には、「よいところを認める」 アプローチでは
 自己を肯定する感情を形成するには力が弱い。
・それは、「よいところを認める」アプローチの場合、他人と比較し、他人より
 よい自分の価値を知らしめることによって『自己肯定感』を形成しようとする。
・そうではなく、存在そのものを肯定し承認されることを通じてこそ
 『自己肯定感』は形成できる。自分はダメで弱いところもいっぱいあるけれど、
 そんな自分でも認められていると子どもが思えるようにすること。
・それには、「生きてくれてありがとう」というメッセージを伝えることである。

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「親の本心は、本来、『生きてくれてありがとう』です。
 赤ちゃんを抱っこして、みんな『よしよし』と言いますよね。
 あの『よしよし』は・・・」
 高垣氏はそう言い、黒板にこう書きました。
「よしよし」=「赦し赦し」
「あの『よしよし』は、評価など一切なく、無条件に子どもを赦す(ゆるす)ことです。」

 『自己肯定感』を高めることは、ここ宗谷中でも課題です。校内研究のテーマも、『自己肯定感をもって共に学びに向かう集団の育成』です。「経営の重点」には、「自尊感情の育成」も掲げています。
 しかし、『自己肯定感』そのものを問うことは、今までありませんでした。
 今回も、はっとさせられた講演会でした。

 高垣氏は教職員に向けて、こんな話もしていました。
・教職員にとって「不登校」問題は、教職員の関係が試される機会である。
・担任を、焦らせずに、ゆったりとした心で関われる条件を
 教職員集団がつくりだすことができるか。教職員集団力が試される。
・しんどい子どもに直に接する大人(母親や担任)を支える周囲の力が
 あるかどうかが問題解決のカギである。

 ぜひ肝に銘じていきたいです。

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