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性教育-「つながる心」をもつ生徒に

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「わあ、かわいい!」「かわいい!」「笑ってるう!」
 お母さんの膝の上にお座りし、顔を向けるとにこにこ笑い返す赤ちゃんを見て、歓声を上げ、満面の笑みの子ども達。

 1年生の性教育の授業の様子です。この性教育の授業に、乳児のいる校区のお母さんにお願いをして、赤ちゃんを連れて来ていただきました。赤ちゃんの抱っこ体験をさせてもらうためです。

「かわいい!」
「抱き方、うまいね!」
「さすが、お兄ちゃんだね。」
「ほら、抱いてごらん。」
「えっ、えっ」
「ここに手を入れて、ほら。」
「えっ、ちょ、ちょっとパス!」
 上手に抱っこできる子、喜んで抱っこする子もいますが、慎重に抱いて赤ちゃんに窮屈がられる子もいれば、体がこわばってしまってなかなか抱っこできない子もいます。
 物とは違う、ペットとも違う、命ある人間の赤ちゃんを抱っこすることは、子ども達によってはとても緊張するものだったようです。

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 1年生の授業は、「いのちの誕生を学ぶ」。
①自分は奇跡的に生まれた大切な存在であることに気づく。
②お母さんと赤ちゃん自身の力とが一緒になって生まれてくることがわかる。
③自分は家族や周りの人たちにとってかけがえのない存在であると気づく。
そんなことをねらった授業です。

 まず、私たちの命についてその誕生する経過を最新の科学をもとに学び、次に自分たちのお母さん方の出産前後の気持ちを知り、3つめに「妊婦体験ジャケット」を装着して妊婦を疑似体験し、そして最後に本物の赤ちゃん抱っこ体験をするという授業の流れでした。

「早く、あなたに会いたいなと思っていました。生まれてくるのが楽しみでした。」
「生まれて、すごく嬉しかったです。」
「幸せな気持ちになりました。」
「涙が出てしまいました。」
「ちゃんとした親になれるか、不安でした。」・・・
 お母さん方から寄せられた文を、子ども達は真剣に見つめていました。
 きっと、自分の存在を愛おしく思ったに違いありません。
 そして、抱っこした赤ちゃんの体温に命を感じ、無防備に抱かれるままの赤ちゃんに大事にしなくてはという心理が働いたことでしょう。こうやって、自分も大事にされてきたのかな?と、思えた子もいたに違いありません。

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 先週は2年生で性教育授業が行われました。
 2年生の学習は、「多様な性について考える」。
 「性同一性障害」―心の性と体の性との食い違いを持つ障害を抱えた人がいることを伝え、その人の実際の生き方、生き様を映像で見て考える学習でした。

 映像の主人公は、「性同一性障害」を抱えて生きるプロボクサー真道ゴーさんです。自分は男性と思う心と体は女性という食い違いに悩んでいた真道さん。お母さんに打ち明けたときに、
「男とか女じゃなく、目標を持って笑顔で生きてくれたらそれでいい」
と受け入れてもらえた。その後、「ボクシング」という目標を見つけて自分らしく生きようと努力し、世界チャンピオンになり、自分のジムを開くまでになった。女性のパートナーと共に。

 子ども達は真剣に見ていました。それぞれに感じるものがあったようです。
「目標を見つけることができてよかった。」
「恋人もできてよかった。」
「いろいろな性があることがわかった。」
 多様な性があり、それはごく一握りの人だけでなくそれなりの割合で存在し、決して特殊な人ではないこと。そういう人たちの中には生きづらさをもちながら悩んでいる人がいること。その中でも自分らしく生きようと前向きに努力している人がいること。そんなことを子ども達は学びました。

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 これからの私たちに求められていることは、何でしょう。
「多様な性があり、どんな性の人も一人の普通の人間。
 無理に理解しなくてもよいです。そういう人がいるんだなと知れば良いです。
 世の中にはいろんな人がいて良いんだなあと思ってほしいと思います。」
 授業はこんなふうにまとめられました。

 本校の性教育は、「自他の性と向き合い、つながる心と豊かな人間関係を築く生徒の育成」をねらった心育ちの学習です。
 男女それぞれの体のしくみやその変化、あるいは多様な性があることを知る。
 生命誕生のメカニズムや新しい命が誕生したときの父母の喜びを知る。
 そうした学習を通じて、自分を愛し、他者を尊重しつながる心・対等でみんなが生かされあう関係や集団をつくる力を育もうとねらって実施しています。

 授業を通じて子ども達が、自分自身と仲間を丸ごと受け入れ、自分をとりまく世界の温かさを感じ、こちらからつながりあおうとする自分に少しずつ着実に高まっていくだろうと思っています。

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