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「学力向上」への道―回り道のようでも、生きて働く学力をめざして

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 『全国学力学習調査』の結果が過日新聞報道されました。テストの点数は、「学力」を評価する1つの指標ですので、北海道が「中学国語B」を除いて全国平均を下回っていること、そして、宗谷が下位に低迷し、とりわけ中学校は数学と理科が道内の最下位に位置していたことに、衝撃とともに厳しい見方がされています。現場を預かる校長として、この結果を重く受けとめています。

 この結果を受けとめ、これまでの取り組みを振り返り、学校としての改善策を考えていかねばと思っています。しかし、改善策を間違えると、かえって子ども達を、やせ細った「生きる力」のない人間にしてしまう危険性もあると考えています。
 北海道教育委員会高橋教一教育長は、次のような趣旨の講演をしているとのことです。

 道教委は点数を上げるためにテスト対策や点数競争をさせようと言っているわけではない。
 「生きるために最低限必要な知識が北海道の子どもたちにきちんと身についていないのではないか」「物事に真摯に取り組もうとする姿勢が育っていないのではないか」「こういう生活習慣を引きずったままで、一人前の大人として地域社会を担い、子ども達を生み育てていけるのだろうか」という危機感を持っている。・・・
 この基礎学力問題は「平均点の問題ではない。平均点に矮小化すべきではない」と考えている。「九九ができないまま」「アルファベットが書けないまま」子どもたちは卒業していく。・・・
 大事なのは、一人ひとりの子どもに、自立して生きていくため最低限必要な基礎学力をきちんと身につけさせること。これは「競争主義」とか「新自由主義」ではない。純然たる「教育論」。
 最近、「基礎学力保障」という言葉をよく用いる。子ども達一人ひとりに最低限の学力を身につけさせて社会に送り出してあげたい。そのための取組を着実に行えば、結果として平均正答率は全国を上回るはず。「全国平均をめざす」と掲げたのは、そういう意味。
   (『日本教育新聞』北海道版11月26日号「高橋道教育長講演要旨」から)

 テスト漬け、ドリルドリルで点数を一時的に引き上げることは可能です。しかし、以前から言われていました。それらは、「剥がれ落ちる学力」であると。
 難易度の高い国立大学に入った子が、課題解決について自分で見通しを持ち考えたりできない、困難に出会うと自分で打開できずに立ちすくんでしまうなどなど、受験をクリアした「学力」が大学で出会う学問への挑戦に生きて働くものに必ずしもなっていないという嘆きを、ある大学の先生が話していました。
「なぜだろう?」
「このことから、きっとこうなるのではないかな?」
「自分は、○○だから、こうなると思うけれど、君はどう思う?」
「私は、△△を理由に、こうなると思うけどな? 君は?」
「んんん…。なるほど。でもな…」
 疑問に思ったことを自ら調べたり、ある根拠をもとに予想して確かめたり、それぞれの根拠をもとに考えをだしあったり、それらにじっと耳を傾けて自分の考えを熟成したりしながら、「そうだったのか!」「やっぱり!」「違った!なぜ?!」「なるほど」・・・という納得や感動をもって「わかった」と感じられる授業。
 そんな授業の積み重ねが将来に生きて働く「学力」を育んでいく、本校はそんなスタンスでいます。

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 12月11日(火)の『朝の打ち合わせ票』の本間教頭先生のコラムには、こんな文がつづられています。

■研究授業お疲れ様でした。学力向上の鍵は授業づくり。学習会や個別指導はあくまでも枝葉の部分。授業の幹を太くするためのお互いの「学び」ができた昨日でした。

 10日(月)に、本校では、中西宗谷教育局指導主事を助言者に迎えて、研究授業を行いました。2年生の数学です。
 授業後の研究協議で、いくつかのアドバイスをもらい、これからの数学授業をいっそう充実させるよい機会となりました。また、授業者だけでなく、先生方それぞれが自分の授業を振り返る機会にもきっとなっただろうと思います。そのことによって、わが先生方は、きっと次の自分自身の授業づくりの改善を考えたに違いありません。
 そのことが学力形成の核であると教頭先生は言うのです。私もそう思います。
 結果を受けとめて、テストのためのテストをやっても、「生きる力」としての「学力」は形成されない。とある県の教育委員会の方が「国語と算数に特化して、テストの点数を上げた」と胸を張っているという記事も目にしましたが、道教育長の考えはそうではないだろうと本校では受けとめているということです。
 授業者として苦労をかけましたが、準備をし授業を提供してくれた平川先生に、感謝です。

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 本校は、以上のように、「わかる授業」を核として学力形成をめざし、それに資するために実践と研究を行っています。また、その土台づくりとして、「自己肯定感を持って共に学びに向かう集団の育成」を研究主題としています。
 それは、それぞれの考えや意見を尊重し合う、聞きあう、そうした生徒同士の関係の形成を通じて、いっそう意見や疑問が出されあい、時には「わからないから教えて」というSOSの発信もできることで、思考を補完し合ったり深め合ったりすることが可能になり、「わかる」ことにつながるだろうと考えているからです。
 授業公開した2年生の学級の生徒同士の関係性は、「共に学びに向かう集団」になってきているぞとみている者が感じる状態でした。3人がグループになって、考えを述べ合ったり、笑顔でホワイトボードにみんなのまとめを書いたり、とても気持ちの良い雰囲気を子ども達が醸し出していました。そうした集団にするための意図的な学年団の営みがあったことを感じることができました。
 このよさをさらに進化させ、各教師が自らの授業を振り返って、課題を見出し1つ2つと改善に着手したら、子ども達の「生きる力」としての「学力」はきっとさらに伸びるに違いありません。

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 また、本校では、そうした授業づくりの一方で、基礎学の取り組み、放課後学習会、個に応じた個別指導、家庭学習の取り組み、そして冬休み期間中にも学年ごとの学習会も行っています。
 すべて、子どもたち一人ひとりに基礎基本を定着させるためです。そのことを通じて、自分に自信をもち、未来を自ら切り拓く力を何とかつけてあげたいと、全教職員がそう願っています。
 子ども達一人ひとりに愛情を注ぎ、子ども達のために全力挙げてがんばる本校の先生方、積極的に授業を公開しあう先生方を本当に頼もしく思っています。
 遠回りのようだけれども、授業の質的向上と子ども自身の学ぶ力と意欲を育むことこそ、子ども達に確かな学力を定着させると考えています。
 大丈夫。そのことが着実に前進を見ています。迷わず進みたいと考えています。

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12月7日、爆弾低気圧による臨時休校

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 今日は、臨時休校としました。爆弾低気圧による暴風雪のためです。
 朝5時半過ぎの段階では、雪はさほどついていない状態でしたが、何しろものすごい強風です。家がガタつき、吹く風の音もはんぱではなく、風速20メートルを優に超えているような感じです。しかも停電です。問い合わせると、稚内―宗谷岬間のバスは走るとのこと。しかし、大岬から目梨泊まで国道は通行止め。東浦の生徒は来ることができません。
 夜明け前の暗闇の中で教頭先生と連絡をとりあい、沿岸校長会の花田事務局長とも連絡をとり、即、臨休としました。
「校長先生、ごみステーションが倒れていましたね。」
早朝の学校で落ち合った教頭先生が報告してくれました。
「えっ?!」
 住宅の壁を伝い、強烈な横風に踏ん張りながら校舎にたどり着いたので、風の向きの反対側に位置するごみステーションが倒れていることにまったく気づきませんでした。目が覚める前には、もっと風が強かったのでしょう。

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 夜がしらじら明けても強風は収まりません。薄暗いの中、カチッと言う音と瞬間的な光がどこからか発せられました。停電の復旧です。子ども達の登校しない学校ですが、先生方の仕事には何とか支障がないようです。
 ちょっとほっとはしましたが、外を見ると、真っ白です。相変わらずの強風に雪がつき、今度は猛烈な吹雪です。そうこうしているうちに、教頭先生からまた報告が。
「校長先生、校門が倒れています!」
「国道沿いの看板がまた倒れたの?!」
 今年4月4日の爆弾低気圧では、学校名が書かれた校舎看板が倒れています。
「違います! 金属製の、あの立派な校門です!」
 このホームページの『学校概要』のトップにある写真に載っている、わが校の表門が土台のところからポッキリ折れて、倒れてしまっているではありませんか?!
「持ち上げようとしましたが、びくともしませんでした。」
 今回の爆弾低気圧による強風も、やはり相当なものでした。宗谷岬の瞬間最大風速は36メートルとのこと。清浜を抜けた強風も負けず劣らずだったのでしょう。

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 今日は3年生がテストの日でした。来週に延期です。
 明日は数学検定の日です。意欲を持った生徒がチャレンジします。天候が収まり、無事検定ができることを祈っています。
 期末テストが終わり、子ども達はつかの間ほっとしたようですが、数学検定や基礎学合格をめざし、地道な学習を続けています。また、3年生は進路実現をめざし、今が学力づくりの正念場。臨時休校をきっと学習の時間にあてているのでは? 
 3年担任の牧野先生からは、学力アップのために、土・日に勉強をみてもらいたいというリクエストが生徒からあったそう。
「がんばりたいというので、学校を開けてほしい。」
 牧野先生の申し出に、勿論OK。子どもの意欲に向き合い、土日もなく寄り添ってくれる担任の先生に心から感謝です。数検も英検も週休日の実施。先生方に本当に感謝です。

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 日曜日は、各部活が保護者と共に3年生への感謝と進路実現への激励もこめた「納会」を実施予定です。お昼と過ぎても、風は一向に収まる様子はありませんが、明日・明後日の個別学習会・部活・数検・納会が無事できることを祈りばかりです。
 連れずれなるまでに記した、本日の『日誌』でした。

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 ↑秋の日の穏やかな学校の前浜。遠くにサハリンを望む。

後期生徒総会:エールを交わし、ポジティブへ

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 後期生徒総会が行われました。先週のことです。
 議事は、前期活動の反省、後記活動計画の提案、生徒会憲章に関わる振り返り、そして新ジャージについての検討でした。
 1学年1学級、生徒の数も1学年10名前後という小規模学校の良さを感じる機会でした。と同時に、生徒達は発展途上人、まだまだ可能性を伸ばす働きかけが必要であることを感じた場面でもありました。

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 良さを感じた1つは、生徒会や常任委員会(2つだけですが…)だけでなく、学級の反省も交流できること。学級数が多ければ、せいぜい紙上交流が関の山だけれども、本校では各学級(学年)の代表が声に出して全校に伝えることができます。また、反省に対して意見や激励も直接声で伝えられます。そのやりとりは、さながらエールの交換。これも小規模の良さを感じた2つめです。
 学級で振り返って肯定的に評価したことや反省したことを述べ、それに対して激励の言葉をかける。また、その励ましに「ありがとうございます」と感謝を述べる。
 形式ばっていると言われればそうかもしれません。「型」にはめていないかといえば、確かに自由闊達とは言えないかもしれない。でも、言いたいことだけを言いあっているのとは違った、「思いのつながり」「日常における縦横のつながり」を感じる総会でした。

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 ここで、各学級がめざす目標と、その振り返りを紹介しましょう。
★1年 『友と共に努力しよう』
 *前期を振り返って:前よりクラスの絆が深まった。
★2年 『パズル~一人欠けたら完成できないからみんなで協力していこう~』
 *前期を振り返って:達成度87%。
去年よりみんなで協力できるようになったし、絆が深まった。
★3年 『Let’s enjoy!!』
 *前期を振り返って: 半年間であった行事・活動を団結して「enjoy」できた。

 どの学年も、つながりが着実に深まってきて迎えた総会だったようです。そうしたつながりこそ、子ども一人ひとりの自尊感情、自分への信頼を育み、相互に意欲を引き出しあい、より高いものに向かっていく挑戦心やたくましさを育てるものと信じています。
 前期の成果、前期で作った土壌の上に、小さくとも一人ひとりの「花」を咲かせてほしいと願うばかりです。

 ところで、「発展途上人」のゆえんは、『新ジャージの決定』の話し合いの場面が象徴的でした。
 生徒会の提案は、必ずしも多くの人が賛成するものではなかった。それに対して、提案の趣旨をきちんと受けとめてかみ合った意見を述べ合う、自分とは対立する意見の根拠を掘り下げて相手を説得する言葉を考える、話し合いを一致の方向に向けていくための言葉を考えて発言する…正直、まだまだその域には達してはいないなということが浮き彫りとなりました。
 そうした力は、授業の中、行事をつくる過程の論議、部活動のミーティング、学級生活に課題を見出し真剣に討議する中などで形成されていく力でしょう。
 子ども達に「伸びしろ」がまだまだたくさんある。そのことは、子どもはとっても可能性に満ち、教師にとっては目の前にやりがいが待っているということです。

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 Positive(ポジティブ)~積極的に行動しよう!~
 後期生徒会の「全校スローガン」です。
 重点目標は、①元気な挨拶! ②思いやりを大切にしよう!

*自分から発信してみる、自分から信頼を寄せていく、
*勇気を出して自分の心を開く、困ったときには「助けて」と言ってみる、
*もしもすれ違いがあった場合でも「きっと何かわけがある」と考えてみる…

 元気な挨拶をする宗谷中生、思いあう関係が形成されるために、きっとみんな、こんなことを考えているのではないかな…と思います。
 まず自分から。みんなで確かめ合ったことに、信頼をおいて。
 仲間から先に発信があったら、笑顔で挨拶を返す。
 そんな光景が、これから毎日あちらこちらで見られる宗谷中は素敵だなと思います。そんな中で過ごせることが、とっても嬉しく、楽しみです。

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水産タイム発表会―地域・保護者、先生方・後輩に見守られて

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 毎年恒例の「水産タイム発表会」を11月27日に実施しました。
 この発表会は、今年度の水産学習で学んだことを学年ごとに発表し交流し合う機会です。発表会には、保護者や地域の皆さんにもお越し願い、学びを評価していただき、生徒達の次への意欲を励ましてもらう会でもあります。
 また、この発表会には沿岸3小学校の5・6年生を招待しています。後輩たちに対して発表会は、宗谷中学校に入学したら学ぶ「地域に根ざした学習」についての事前レクチャーともなっています。ですから、沿岸の「保小中連携事業」の大事な1つでもあります。
 今回も、多くの保護者、町内会長さんや小学校のPTA会長さん、役場の支所長さんなどの地域の皆さん、後輩、お世話になった小学校の先生方が見守る中での発表会となりました。

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 1年生は、「地域の方々に学ぶ漁労体験学習」をテーマに、
①浅海増殖センター見学のまとめ
②エビの生態とエビ籠作り
③エビ籠漁とエビ調理、の3つを発表しました。
 プロジェクターを駆使したり、自分たちで作ったエビ籠の実物を披露したりしての発表です。

 2年生は、「地域の方々に学び、地域の方々とふれあう加工体験学習」がテーマ。発表内容は、
①加工場見学について
②必見!タコ燻製
③地域配布アンケートについて
 タコ燻製の作り方発表は、自分たちで模型を作って、タコ足を切ったり、皮をはいだり、イボをとったりするようを実際のように披露して、会場が納得の表情。

 3年生は、「生徒の生き方の発見につながる流通分野の学習」をテーマに発表。内容は、
①宗谷の海産物の流通について
②宗谷のPR活動について
③販売実習で学んだこと 
 水産学習が地域の支援と協力でできることへの感謝をこめての発表です。

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 参加された方々に感想をお聞きしました。

★大岬小学校 花田校長先生
 見ている人がわかりやすいように、発表をとても工夫していましたね。学年を追うにしたがって発表内容がレベルアップしていました。それぞれよく調べています。
水産学習の成立に地域の人たちの支援があることをきちんととらえていて、感謝の気持ちがすごく表現されていたと感じました。

★宗谷小学校 宮田校長先生
 2年生のタコの燻製作りの過程を、用具を作り、実物に見立てて、切ったり、皮をむいたり、イボをとれて、小学生が見てもわかるようにわかりやすく工夫していたのが印象に残りました。 
 3年生の札幌での販売実習の様子も映像で見ることができ、がんばったようすをじかに見られてよかったです。札幌では、販売の時に毎年来てくれる人もいるとのことで、ずっとやってきたことが定着して、応援してくれる人をつくったんだなと歴史を感じました。
 1年生が先輩から学ぶ場にもなっていましたね。

★大岬小学校 後藤教頭先生
 学年が上がることに発表のレベルが上がり、3年間での生徒の成長がすごく見えました。調べた内容も詳しく、発表の仕方やまとめ方が見ていてわかりやすく、すごく上手だなと思いました。
 生徒の皆さんが、水産学習に自信を持っているんだなと思いました。

★小学生の皆さんから
・エビかごの作り方がたいへんだとわかりました。
・キャラクターなどを使って、わかりやすく楽しく学べてよかったです。
・タコのくんせい作りのもけいがよかったです。
・来年、自分が中学生になるので、今回わかったことを参考にしてわかりやすく発表できるようにしたいです。

 富磯から参加して下さった、田中純富磯小PTA会長さんからは、励ましのメッセージが届きました。温かい感想と激励の中に、水産教育が、宗谷中が、地域から期待されていることをひしひしと感じました。
 
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 地域の皆さん、保護者の皆さん、小学校の先生方からの期待に応えて、今後も水産教育の充実に努めたいと思います。皆さん、これからもご支援・ご協力、そして温かい激励をどうか宜しくお願い致します。
 最後に、アドバイザーとして子ども達を評価・激励して下さった、宗谷漁協理事熊谷明男様、お忙しい中、本当にありがとうございました。

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宗谷小「地域学習実践発表会」にお邪魔して…

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 11月19日に行われた、宗谷小学校の「地域学習実践発表会」にお邪魔しました。
 宗谷小学校は、本校校区の3つの小学校の1つです。一番お隣の学校で、数百m稚内よりの高台に建っている学校です。宗谷小学校がある宗谷は稚内発祥の地で、宗谷小は稚内で一番長い歴史を持ち、今年が120周年の記念の年です。
 「地域学習実践発表会」は、それを記念したミニイベントの1つです。

「宗谷は稚内発祥の地。
 宗谷小は稚内で一番長い歴史を持った学校です。
 誇りをもっていきましょう。」
 宮田校長先生の挨拶を皮切りに、複式の3つの学級がそれぞれにテーマをもって調べてきた、地域のこと、学校の伝統についての発表です。

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 トップバッターは、3・4年生。発表テーマは、『宗谷の名人しらべ』です。
 「タコとり名人」(その正体は、宗谷中:畑PTA会長さんでした!)に始まり、「エレキギター名人」・「漬物名人」・「エビとり名人」・「なまこ研究名人」・「コンブとり名人」・「宗谷の歴史をたかる名人」・「もずくとり名人」…何とも多士済済。宗谷にはたくさんの名人がいることを知りました。
 各名人が子ども達にインタビューされている絵がスクリーンに映し出されるたびに、会場が笑顔になり、発表する子ども達を見つめる眼差しが温かくなります。
 子ども達が地域で発見した「名人」は、うちのおじいちゃん、友達のおじいちゃん・おばあちゃん、近所のおじさんやおじいちゃんでした。身近に「名人」がいることを子ども達も知って、きっと皆さんのこと、地域のことを誇りに思ったに違いありません。

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 2番手は、1・2年生。テーマは、「宗谷のまちしらべ」です。
 宗谷・第1清浜・第2清浜、宗谷小の校区にある、3つの地域を自分たちの足で歩いて調べ、いろんな発見をしたことを発表してくれました。
「宗谷には、予想以上に家があって、びっくりしました!」
 子ども達は、自分の目で確かめたことに新鮮な驚きをもつことを知りました。
 まち調べの最後には、「まち探検クイズ」です。
「宗谷公園にある銅像の人は、誰でしょう?!」
「宗谷公園に、コーヒー豆の碑は、なぜあるのでしょう?!」
「大越さんの裏には、何があるでしょう?!」
「清浜の港にある、灯台の色は?!」……
 地域色豊かなクイズを、きちんと「3択」を用意して出題してくれます。会場も得たもの。上手に間違う挙手もあって、1・2年生は大喜びです。

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 最後の発表、5・6年生のテーマは、「宗谷小の伝統」です。
 『宗谷海鳴り太鼓』については、その始まりや何を表現したかを調べて発表していました。『宗谷海鳴り太鼓』は、宗谷の海から聞こえる、心地よい自然の潮騒の音を表したものだそうです。
「歴史があるので、これからも大切にして、叩いていきたい。」
子ども達が決意を述べていました。
 その他、昔の運動会、学芸会などを資料から探り、発表していました。参加されたお父さん、地域の人の懐かしげな表情、そして思い出話のつぶやきも聞こえました。

 その後、「名人」や地域の大先輩から、招待してもらったお礼や懐かしい思い出話、子ども達への励ましと期待の話がされました。子ども達も、満足そうな顔をしてしっかり耳を傾けていました。
 最後は、120周年を記念して作成した『宗谷小カルタ』のお披露目です。読み札の句は、保護者や地域の皆さんから寄せられ採用されたものもあるとか。
 12月2日の『餅つきカルタ大会』で、初使用するそうです。楽しみですね。

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「地域は、お願いしたら、本当にいろんなことをしてくれる。
 これなら、もっと早く、頼んでおけばよかったな…って感じたよ。」
 集会を終えて、宮田校長が実感をこめてつぶやいていました。

 学校は、「地域の学校」である。家庭・地域との連携・協力があってこそ、子ども達を成長させることができる。地域は、そのために学校に協力は惜しまないはず…。常々そう思いつつも、実践には至っていないことがあるなという思いは、宮田校長と同じです。
 地域あっての学校。家庭・地域・学校の力合わせこそが子どもを伸ばす土壌を豊かにする。そして、地域には「愛」があふれ、「名人」もキラ星のごとくたくさんいらっしゃる…。
 そんなことを感じて帰ってきた、宗谷小実践発表会でした。
 参加させていただき、本当にありがとうございました!

先生方と学校の元気の源―管内教育研究大会

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 人、人、人…。
 11月17日(土)のお昼時、稚内中央小学校の体育館は、人でいっぱいでした。
「うちの先生方、どこにいるかな?」
ずうっと見渡しても、1回では見つけられません。そんな私を先生方見つけてくれて、手を振ってくれました。本校の先生方が車座になってお弁当を食べています。

 体育館に集まったのは、宗谷管内各市町村の教職員です。その数、約600名。宗谷管内の教職員の4分の3以上の人が集まった数です。なかなか圧巻です。11月半ばの体育館なので、ちょっと底冷えはしますが、それとは別に熱気が伝わってきます。
「いやあ、こんなに先生方が集まったのは、久々に見ましたね。」
「いつ以来だろう?」
「『50周年記念大会』以来かな?」
「10年ぶりか…」
 この日、行われたのは、宗谷管内教育研究大会。
 これから開会式が行われ、その会場が稚内中央小学校。開会式に引きつづいて、各教科や学力づくり・特別支援教育・児童生徒理解・カウンセリング・学校保健・学校事務・複式の授業づくり…と全20の分科会が行われますが、参加者が予想を超えたため、稚内中学校と2会場に分かれて行うことになりました。

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 子ども達の確かな学力づくりと豊かな心を育み、地域・保護者から信頼される学校をつくるために、管内的な学び合いの場=教育の広場をつくりだし、一堂に会して学ぶことでわれわれ教職員の力を高めよう、学校研究を充実させようというねらいをもって、宗谷管内の教育関係者が年月をかけて準備してきた大会でした。
「いろいろと学びたい。自分の専門教科の授業が見たい。」
「自分の実践を検証してもらいたい。」
「同じ教科を教える仲間と語り合いたい。」
「今抱えている悩みを聴いてもらいたい。意見を聴きたい。」
「学級の現状をよりよくするために自分が考え実践していることに
 ぜひ意見やアドバイスをもらいたい。」…
 そうした様々な、現場教職員の願いや悩み、ラブコールに応えて、ようやく実現した研究大会でした。
 午前中は、稚内中央小学校・稚内中学校、天北小中学校・増幌小中学校・上勇知小中学校・下勇知小中学校・稚内西小中学校で、各教科・特別支援教育・道徳の授業の公開と授業後の話し合いが行われています。

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 宗谷には、長く、管内の教職員が集まって教育研究を共に行う伝統がありました。その始まりは古く、昭和20年代と聞いています。私が新採用教員として宗谷管内(礼文町)に赴任した昭和50年代にも引き継がれて開催され、平成の時代になっても続いていました。当時は、各市町村持ち回りで開催され、私も分科会に実践レポートをもって参加していました。
 それは、自分が行った、拙い授業の計画と実践をまとめたレポートです。そうやってレポートをまとめ、分科会で発表したり意見を浴びたりして、「今度こそ」と考えるのが常だったなと思い出します。次こそ、先生方が「ほう」と感心する実践をやってみせると思ったものです。
 そのことが、授業計画づくりの時に、何かを参考にしながらも子どもの顔を思い浮かべながら自分の頭の中で反すうしつつ考えることにつながり、練り上げる力や事前に想定する力、多少は臨機応変にできる力が鍛えられたのかなと思います。
 そこで形成したものは、学校のどのポジションについても、そして現在でも役割を発揮する際のベースの力となっていると感じています。

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 その時どきの、いろいろな条件や状況の中で管内的な学び合いの広場は中断を余儀なくされ、管内の教職員が一堂に会するような大会は、実に10年ぶりです。
 時代は今、「みんなで集まって学び合おう」ということを再び求めている。そのことを、今回の管内教育研究大会の集まりと熱気が証明してくれました。

 研究大会の夜に行われたレセプションでは、若い先生方が、
「参加してよかった。」
「感動的な一日だった。」
「今後の教育と充実される力にしたい。」
「ぜひ、礼文でも大会をやってほしい。」
と、熱く語り、先輩教職員がうなずきながら大きな拍手を送っていました。
 今回の研究大会の前向きな総括をしっかり行い、子どもが育ち、保護者・地域からいっそう信頼される学校をつくるために、管内教育研究大会がさらに充実するように自分ができることをしなければ、そう思うところです。

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 大会の次の日、久しぶりに理髪店に行きました。
「先生、昨日、たいへんだったんじゃないですか?」
「?? 何が?」
「えっ? 先生、出てなかったの?」
まさかと思いつつ、
「研究大会のこと?」
「そうそう。」
「情報早いね。600人も集まって、中央小の体育館、びっしりだったよ。」
「へえ、それはすごいね!」
新聞には取り上げられていなかったのに、口コミで情報が伝わったようです。
 この理髪店のオーナーも、小学生の保護者です。研究大会に手弁当で集まる先生方は、絶対に支えられる。そして、そこで学んだことは、必ず自分の力となり、子どもに還元され、先生方と学校の元気の源となり信頼につながる。
 そんな思いを深くした、この土日でした。

■生徒会選挙―自分が主人公であることを心に刻む

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「私が生徒会長に立候補した理由は、生徒会役員の経験が楽しかったからです。
 生徒会ではいろいろ学べました。まだ新しく学びたいです。」
「これまで、宗谷中のためにやっている役員さんはすごいと思って見ていました。
 私も、宗谷中のために役に立ちたいと思いました。」
「これまで役員をやって大変でした。
 でも、役員を経験して、人前に出て発表する力がつきました。
 今よりもっと明るく笑顔の絶えない学校を創りたいです。」
「宗谷中のよいところは、みんな仲良しで、団結できるところです。
 私は、今よりもっとステキな宗谷中、
 あいさつがもっと元気良い学校にしたいです。」
 11月14日、生徒会選挙が行われ、立候補した4名の生徒が、決意の言葉をこのように述べました。

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 4人とも、現在もステキな学校になっていること、もっともっとステキの宗谷中にしたいと願っていることがわかりました。4人がいうステキな学校とは、
*仲間と尊重し合える学校、意見を尊重し合える学校
*明るい学校、明るくて笑顔の絶えない学校
*あいさつを元気に交し合える学校 です。

 これらの学校は、『宗谷中生徒会憲章』(平成20年4月制定)で、先輩たちがめざそうとした学校像と大いに重なるものです。
 『生徒会憲章』では、いじめがなく、楽しく、活動への意欲にあふれ、友達の輪を広げるために、一人ひとりの人間としての権利(意見表明権・活動参加の権利・学習権)を尊重し合い、
☆仲間を大切にし、励まし合って喜びを分かち合える学校
☆みんなが生き生きと自分の輝ける場所があって、
 どんな時も挑戦し続ける学校
☆社会で活躍できるような、希望あふれる明るい未来をめざして、
 今を学び続ける学校
をつくるぞという宣言をしています。

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 生徒会選挙を通じて、先輩から引継ぎ、受け継いでめざす学校像を、改めて考えあい確かめ合えたように思います。そして、そうした学校を創ろうとする営みが宗谷中新時代の新しい伝統づくりであることを。
 『生徒会憲章』の後半の「決意」には、こんな文面が踊っています。

 私たち宗谷中生一同は、学校づくりの主役であることを自覚し、
 この憲章を尊重し、日常生活で責任ある言動をとっていきます。
 また、それぞれが一人の人間として自立することを心に刻み、
 理想の学校を創りあげていることをここに決意します。

 何とも格調高い決意表明でしょう。そして、深く考えさせられる決意文でしょう。
 なぜなら、仲間と喜びを分かち合い、輝き、未来を創る人になるために学ぶ者は、他でもない、自分自身なのだということです。そして、そうした環境に学校を高めていく者も、自分自身であるということです。
 それが「主役」であり、「主人公」ということです。

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 立候補した4名は、そのリーダーとなる決意をしました。
 その後、全員の当選が決まり、晴れてリーダーとなりました。
 しかし、全員をリードしていくのはリーダーの役割ですが、一人ひとりが尊重され、輝き、明るく楽しく笑顔あふれる学校にする営みを担うのは、一人ひとり全員である。自分が担うのだ。そのこと抜きに自分が願う学校を創造することはできないのだ…。
 生徒会選挙を通じて、きっと全員が、そんなことを自分の心の中で問い直し、心に刻んだに違いありません。
 
 生徒会役員というリーダーをみんなが支え、リーダーは周りを気づかってみんなをその気にさせるために汗を流す。
 宗谷中生ならきっとそれができ、みんなが願う学校にいっそう近づけることができると信じています。
 われわれ教職員も力いっぱい応援していきたいと考えています。

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水産教育のバトンー引き継がれる

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 11月9日(金)放課後の家庭科室で、「水産部」のミーティングが開かれました。
 「水産部」は、宗谷の産業教育学習を進める核になっているクラブで、1年生から3年生まで全員が入部しています。この日のミーティングは、①今年度の活動の振り返り、②部長副部長の新旧交代、③3年生から下級生への「伝言」を目的としたものでした。
 水産部顧問の田中先生がまず今日のミーティングの内容とねらい、配慮することを提示し、1・2・3年生を混ぜた3グループに分かれ、それぞれで今年度の振り返りを行い、3年生から「伝言」を話してもらいました。各グループ、話し合いの進行は、3年生です。

 今年度の振り返りでは、初めて活動を体験した1年生に感想を訊いています。
「作業が、いろいろ難しかった。」
「作ってみると、たいへんだった。」
 そんな声がありつつも、みんなでやった作業に満足であった感想が出されています。
「初めてのくんせい作りは楽しかった。」
「難しかったけど、意外と楽しかった。」
 Aグループで、真っ先に手を挙げた森君は、笑顔でこんな意見を。
「みんな、イイ顔をしてやっていた。」
グループみんなの顔がほころびます。

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 今年は、稚内市が行った『食マルシェ』のイベントにも参加しました。
「思ったより早く売れた。」
「完売できてよかった。」
「誘ったら、買ってくれてうれしかった。」
「パンフレットを受け取ってもらえてうれしかった。」
「宗谷以外の人にも食べてもらえてよかった。」
「地域の人たちと交流できた。」
 『食マルシェ』参加は、子ども達の喜びとなり、大人からの激励された機会ととらえてくれたようです。

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 3年生からの「伝言」は、まず、伝統の継承を期待する声でした。
「宗谷中の伝統の部活だから、楽しんで取り組んでほしい。」
「水産部は、ここにだけしかないので、楽しんでやってほしい。」
 もしかすると、自分も先輩から言われた言葉だったかもしれません。でも、学んできたこと、体験してきたことの価値も、ちゃんと自分の中にもっています。
「大変だと思うけれども、将来役に立つこともあるので、手を抜かずにがんばってほしい。」
「これからは、ここで学んだことを生活に活かしていってください。」
 後輩たちも、先輩の「伝言」を素直に聞いています。
 グループの話し合いの後は、記録の2年生が主な意見・感想を発表し交流です。

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 顧問の田中先生が、話し合いの評価を伝えました。
「話し合いリーダーの3年生が、1年生から話を引き出したり、言い換えて発言の真意を伝えたり、してくれていました。優しさを感じました。」
「話し合う雰囲気が、とってもよかった。自然発生的な拍手も出て、よかったなと思いました。」
 なるほど、和気あいあいと話し合いは進み、たぶん、全員がグループの中で意見や感想を言っていたようだし、それをきちんと聞き入れる温かさが感じられました。
 これは、これまでの伝統とともに、4月から今までの今年の協働作業と教師集団による意図的なつながり作りが生んだものです。子ども達のがんばりとともに、先生方に感謝です。

 その後、新旧部長・副部長の挨拶があり、ミーティングは終了に向かいます。
 最後に、田中先生が産業教育の価値を伝えました。
「40年も伝統として続いているのは、大変めずらしいと思います。この学習は、地域の産業を支え、裏でいいふうにつながっている活動です。」
 もう一人の顧問の牧野先生も、子ども達を激励しました。
「先生は、全国的な研究会で、みんなのことを報告しました。参加者の人たちは『すごい。中学校の域を超えている。』と、評価してくれていましたよ。」

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 大変さはあるけれども、意外と楽しい。そして、いろいろな出会いがあり、人とのコミュニケーションの機会ともなり、そして大人の温かさや激励されることを実感できる水産教育。そして、後継者育成の契機にもなってきた水産教育。
 40年の伝統が、宗谷沿岸の今日の礎のひとつになってきたことは間違いない。この伝統を絶やさず継承させなければ…。
 そのためには、活動が子ども達の喜びとなり、子ども同士のつながり、学校と地域のつながりを形成し、子ども達が大人から激励される機会となっている現在の形をよい意味で変えずに何とかつなげていきたい。
 そんなことを決意させられた、ミーティングの機会でした。
 
 冬至までまだひと月もあるのに、窓の外はもう、すっかり暗くなっていました。

沿岸「保小中交流会」風景

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 11月6日(火)、今年度第2回目の宗谷沿岸「保小中交流会」が行われました。
 沿岸の3小学校と本校とただ一つの地域の保育所である宗谷保育所の教職員が一堂に会して学び合い、語り合う場です。
 授業教室には、富磯小・大岬小・宗谷中のPTA会長さんや副会長さんらも一緒に参観してくださっておりました。

 稚内の小中交流、幼保小交流の伝統は相当長く、昭和の時代からやっていることは間違いないと思います。「小中連携」「小中一貫」「異校種間連携」という言葉は、世に出てきて歴史がまだ数年しか経過していませんが、接続する小学校と中学校の交流、小学校と幼稚園・保育所の交流―授業を見合う、子どもの様子、課題や可能性を語り合う機会は、稚内ではずっと続けられてきました。
 宗谷沿岸では、その歴史とつながりを踏まえ、保小中12年間で子ども達をいっそう成長させようと、「保小中連携教育協議会」を1中・3小・1保育所の参加で立ち上げ、連携事業を行っています。
 今回の「保小中交流会」は、その一つです。以前にHP上で紹介した、『南中ソーラン合同チーム』の取り組みも、『小中スポーツ交流』も、連携事業の一貫です。

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 今回の会場は、8月まで私が勤務していた学校ですから、自分の学校経営を外側から「評価」するようでちょっと複雑な思いもありました。
 2・4年生は髙橋先生による道徳の授業です。髙橋先生は、子ども達が興味をひく教材を自力で開発し、それを活用して子ども達の徳性を豊かにする授業の名手です。この日は、「アンパンマン」と、その作者のやなせたかしさんを教材化して、「思いやり」「親切」について考える授業でした。
 「『やってみたい』という意欲を引き出す『気になる課題づくり』」
 「受容的共感的な学級づくり」
この2つが富磯小の研究の柱ですが、それを十二分に感じさせてくれる授業でした。
 また、この授業では「ありがとうと言われること」も大事なキーワードになっていました。これは、沿岸保小中12年間の教育でめざす「やさしい子」の、富磯小が平成24年度に子ども達がめざす「行動目標」と重なるものでした。
 授業を通じて学校目標の達成を図る、全教育活動を通じて徳性を高め、目標にも迫るということが意識されているなと感心しました。

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 おとなりは、5・6年生が社会科の学習です。発達段階に応じた学習の保障が現在大事にされているので、複式での授業です。
 間接授業の際に、ちょっと首をひねりながら、地球儀を活用して日本と世界の主要都市との距離などを調べていたのは5年生。一人学年なので、相談相手がいないのが悩ましいところです。
 6年生は二人が机をくっつけての学習。「戦争はなぜ起こったのでしょう?」本時の課題は、なかなか難しいものです。二人の後ろでは、中学校の先生も難しい顔(?)をして、指導案と授業者の小田桐先生の指導を見比べながら参観です。

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 授業後は、グループに分かれての話し合いです。
 まずは授業の感想を交流。小学校の先生―同じ学年をもつ先生の鋭い感想があったり、中学校の先生の、小学校の先生とはまた一味違った角度からの感想や小学生の受けとめがあったり、管理職からの激励をこめた感想意見があったり、異校種間の連携ならでの相互の学びがあったと感じました。
 分散会の今回のメインテーマは、「かしこい子」に育てるための、「コミュニケーション力をつけようとした実践」「語彙力を増やすための意図的な営み」の交流と意見交換です。
「子ども達の話し合いが生まれるような授業づくり、授業の中での対話の保障を意識しています。」
「人の話を受け入れるような学級づくりが、まず大事だよね。」
「家庭にも何をがんばってもらうか、発信が必要だよね。」
「まず、家庭の苦労をわかってあげることが大事だし、保護者会の中で考えあうようなエクササイズをやってみるようなことも必要では?」
「ゲーム漬けがコミュニケーションの力を弱めているのでは?」
「ゲームの中で対話するようにもなってきてるんですよ。」
「それがコミュニケーション力と言えるのかな?」
「ツィッターなど、『発信』で満足して、『受信』を回避するようなところがあると思う。」
「そのうちに、『空気を読む』と言って、発信しなくなるようなところも。」
・・・・・・

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 ちょっと話が広がりすぎたような感もありますが、テーマを設けて話し合うこと、共通に持ちあった目標をめざす実践を交流し合うことの意義があったと感じています。
 この日は、所用で保育所の先生方は参加できていませんでしたが、文書による実践交流がありました。それによると、保育所でも、子ども達の言葉の発達のために、意図的な努力がされていることがわかります。

 12年間で子どもを育てる。
 このスタンスで、連携と交流を深め、相互の実践力を高めていくことをそれぞれに誓い合った日だったと思っています。

「モンスター」なんかじゃない!

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 「モンスターペアレント」という言葉が広まるようになって久しい。
 この言葉の広まりに対して、『親はモンスターじゃない!』の本を世に送ったのが、小野田正利先生(大阪大学大学院教授)でした。小野田先生は、保護者を「モンスター」と呼ぶことの間違いや危うさ、保護者に対して「モンスター」とレッテルを貼ることで学校や教師が自らを省みないようになることに警鐘を鳴らしました。

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 おぼろげな記憶をたどってみると、この本を購入したのは、確か2008(平成20)年の秋のことだったと思う。とある研究会に参加するために出向いた旭川の書店の「教育書コーナー」で、この本に出会った。本のタイトルに惹かれて書棚から手に取り、内容を読んでみると、非常に共感するところがあり、購入を決めました。
 この本―このタイトルを見た時に、無理難題、あらぬ非難を教師に浴びせる保護者に実際遭遇した過去がよぎりました。
 それは、生徒指導部長であった自分が担任をサポート当時のことです。ここで内容の詳細は紹介することはできませんが、担任はものすごいストレスに襲われました。深く落ち込んだり、投げやりになったり、激しく怒ってそのお母さんや原因をつくっているお子さんを非難することもありました。
その時に、周囲にいた私達のスタンスが、「きっと理由(わけ)がある」でした。校長先生・教頭先生・教務部長の先生・研修部長の先生、そして指導部長の私。学校のリーダー集団の全員がそういうスタンスでした。
 結局、このケースは、臨床心理士の先生へお母さんの同意を得てカウンセリングしてもらい、お母さん自身の「不安感」に寄り添う人を見つけること、そういうお母さんの心に不安を与えたくないという思いがわが子の「嘘」につながったことが見えてきて、時間はかかりましたが、沈静化しました。

 何か問題が起きると、その背景を探り、どうしてだろう、何がそうさせるのだろうと分析し、わかりあうことや手を取り合うことを求めあう。いくら苦しくても学校が寄って立つスタンスは、それだと思ってきました。そう取り組む努力をしてきました。決して相手を決めつけない。切って捨てない。
 小野田先生の本は、そうした学校と教師の姿勢をとてもとても激励してくれる内容でした。

 その小野田先生が、稚内で行われるPTA北海道研究大会の講師で来てくれることになり、生でお話を聴けるのを、とても楽しみにしていました。

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 いきなり度肝を抜かれました。
 だって、唐草模様のジャケットを着て、登場したのですから。「カンニング武山似」「綾小路きみまろ風」…キャッチコピーはいくつか聞いていましたが、想定外でした。一瞬、大丈夫かな…と不安がよぎりました。
 が、講演は期待した通りの素晴らしく合点がいく内容でした。唐草模様のジャケットも、その下に背中にフレーズ入りのオレンジのTシャツを着ていて、途中ジャケットを脱いでTシャツ姿になったのも、すべて最後まで話を聴いてもらうための演出でした。

 小野田先生が伝えたかった一番のことは、学校・教師と保護者は、子どもを成長させるためのパートナーなのだということです。決して、学校・教師はサービスを提供するのみの存在ではないし、保護者はサービスを直接的に受ける当事者ではない。「成長できる」というサービスの享受者は子どもであり、学校・教師と保護者は、それを実現するために力を合わせあう存在だ、という意見です。「教育の主人公は、子どもたちです」。まったくもって、同感です。
 そして、小野田先生は、子どもがサービスを享受し、実際に得られるものを次のような言葉で表現しています。

 教育の目的は何か?
 こう問われたら、みなさんはどう答えますか? …
 私はこう思います。
 自信と自立。…
 子どもの自信と自立のために、いま何が必要か。
 親も、そして学校も、同じ方向を見ながらそれを考えてほしいのです。

 小野田先生が、パートナーとしての学校・教師と保護者に求めているものは、これでした。振り返って、宗谷中ではどうであったか? 水産教育・修学旅行・職場体験・文化祭、そして日々の授業と学校生活…子ども達に少しでも自信をつけ、自立心を形成できたでしょうか? そのためのパートナーシップはどうだったでしょうか?
 少しはできたような気もするし、まだまだでもあります。何せ、子どもの可能性は無限大ですから…。

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 昔は、「子どもが人質にとられているから。」と要望や願いや不満を伝えてくれなかったこともあります。私もかつて言われたことがあります。小野田先生は、保護者が学校へ要望や不満を伝えることができるようになった現在の状況を肯定的にとらえ、次のように言います。

 かつて、学校には権威主義がありました。
 親や生徒は学校の論理に合わせるのが当然だ、という思い上がりです。
 でも、今は違います。
 親はへりくだることなく、教師と対等に話せます。
 言いたくて言い出せなかったことも、 ちゃんと口にできる。
 ホンネで語れる。
 これは親にとっても、教師にとっても、
 そして何より教育の主役である子どもにとって好ましい状況なのです。

 ところが、「モンスターペアレント」という言葉が広く知られるようになると、真っ当な要望や意見を伝えることをためらう傾向ができています。
 「こんなことを言うと、『モンスターペアレント』と言われるかもしれないけれど…」
 「私は『モンスター』じゃないけれど…」
 こんな枕詞を、身近でも耳にしてきました。

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 親は決して「モンスター」なんかじゃない。学校はそうとらえています。
 保護者の皆さんには、「自子中心主義」に陥ることなく、わが子と学級・学校のすべての子ども達に「自信と自立の力」をつけさせていくための意見・要望を大いに出してもらいたいと願っています。もちろん、それ以前に、納得できないこと、不安に思っていること、そんなことを伝えることも子どもを守る保護者の責任の発露であり、大いに相談してください。その際でも、「自子中心主義」に留意し、学校・教師の話にも必ず耳を傾けてください。
 学校も、皆さんの意見・要望、不満や不安等を受けとめる度量をいっそう大きくしていくように努めます。そして、教職員一人ひとりがそう高まっていくように、先生のがんばりも見つけて、ぜひ励ましてくれたりほめてあげたりしてほしいと願っています。
 
 まず自分から相手を信頼し、そのボールを投げたら、きっと信頼返しのボールが投げ返されると思います。そんなキャッチボールができるのが、「パートナー」なのかなと思っています。
 学校・教師と保護者が、子ども達に「自信と自立の力」をつけあうパートナーとして、本音で語り合える宗谷中学校を、引き続きめざし、その実現を図っていきたいものだなと思っています。
 と言うことで、これからもお手柔らかに…。

 最後まで駄文に付き合って下さったあなたの、ねばり強さに感謝して終わりにします。

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